子宮頸がんの原因はウィルス(HPV)

HPV(ヒトパピローマウィルス)とは

子宮頸がんの原因は、ほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染。皮膚と皮膚(粘膜)の接触によって感染するごくありふれたウイルスで、すべての女性の約80%が一生に一度は感染しています。

子宮頸がんはその他のがんと異なり、原因が解明されています。子宮頸がんの原因は、ほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染であることが明らかになっています。子宮頸がんの原因である発がん性HPVは、皮膚と皮膚(粘膜)の接触によって感染するウイルスで、多くの場合、性交渉によって感染すると考えられています。発がん性HPVは、すべての女性の約80%が一生に一度は感染していると報告があるほどとてもありふれたウイルスです。このため、性行動のあるすべての女性が子宮頸がんになる可能性を持っています。

1.ヒトパピローマウイルス(HPV)とは

HPVはヒトの皮膚や粘膜にいる、ごくありふれたウイルスです。大きさは約50nmで、エンベロープがなく2本鎖DNAをゲノムに持ちます。HPVはイボ(浣賛)の原因ウイルスとしてよく知られています。1980年代後半にその一部の種類が子宮頸がん発症の原因であることが明らかになりました。

ヒトパピローマウイルス(HPV)

イラスト提供:GSK Biologicals

ヒトパピローマウイルス(HPV)電子顕微鏡

国立感染研 神田忠仁氏提供

子宮頸がんの原因ウイルスの発見者が2008年度ノーベル生理学医学賞を受賞

HPV(ヒトパピローマウイルス)が発見されたのは1983年のこと。
これにより、女性のがんとして世界では2番目に多い子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルスの一種が子宮頸部に感染することにより発症することが明らかになりました。
この、「子宮頸がんを引き起こすパピローマウイルス」を発見した独がん研究センターのハラルド・ツア・ハウゼン名誉教授には、2008年度ノーベル生理学医学賞が授与されました。
この研究成果をもとに予防ワクチンが開発され、現在、世界100カ国以上で使われています。

2.HPVには型があります。(血液型のように・・)

HPVは100種類以上のタイプが存在し、生じさせる病気の重症度により、low risk(ローリスク)とHigh risk(ハイリスク)型に分かれます。

HPVは皮膚や粘膜に感染するウイルスで、100種類以上のタイプがあります。ヒトパピローマウイルス(HPV)にはハイリスク型とローリスク型があり、子宮頸がんを引き起こすのは発がん性HPVといわれるハイリスク型のみです。性器に感染するヒトパピローマウイルス(human papillomavirus, HPV)は、子宮頸がんの発生に深く関与しています。40程度の型が知られる性器HPVの中で、特定の約15の型(16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68、69、73、82型など)が、子宮頸がん関連HPV(high risk types)として知られています。

HPV-DNA型と悪性度
悪性度
(がんになる危険度)*
HPV-DNAの型
高リスク 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59
中間リスク 26、53、66、68、73、82
低リスク 6、11、40、42、43、44、54、61、70、72、81、CP6108

*高リスク:Odd raito 10以上、中間リスク:Odd raito 9~1、低リスク:Odd raito 1未満

Munoz N et al : Epidemiologic classification of human papillomavirus types associated with cervical cancer : N Eng J Med 2003 : 348 : 518-527

子宮頸がんの原因とはならないHPVはlow-risk typesと呼ばれ、尖圭コンジローマや喉頭乳頭種(小児型、成人型)の原因です。HPV6、11型が代表的です。喉頭乳頭種は、喉頭に限らず、鼻腔、気管、肺などに及び、再発も多いことから欧米ではrecurrent respira-tory papillomatois(RRP)と呼ばれています。本邦に比べ、東南アジア、アフリカ、欧米ではより高頻度のようです。小児型は1~4歳に好発し、尖圭コンジローマの母子感染によります。気道閉塞を起こすことがある成人型は性感染症として20歳以上に好発し、発声障害で発見されます。

最も高頻度に検出されるのはHPV16型であり、次いでHPV18型です。これらの約15種類は子宮頸がんの原因となることが多いため、発がん性HPVと呼ばれています。中でも、HPV16型とHPV18型と呼ばれる2種類は、子宮頸がんを発症している20~30代の女性の約70~80%から見つかっています。

日本における検出HPV型

Miura S, et al:Int J Cancer 2006;119:2713-5より作図

発がん性HPVは、多くは性交渉の時に感染しますが、性器のまわりの皮膚や粘膜との密接な接触などによっても感染することがあるので、コンドームは感染を防ぐ有効な手段ではありますが、完全に防ぐことはできません。

HPVの型は地域により差があり、その理由はよく解明されていません。日本人から16型と18型が検出される割合は欧米に比べてやや低く、60%くらいといわれています。また、52型、58型、33型の頻度が高く、45型は低いとされています。ハイリスク型HPVに感染しても90%以上は体内から自然消失するため、子宮頸がんに進展するのはごくわずかです。全世界で毎年3億人の女性が発がん性のハイリスク型HPVに感染すると仮定した場合、そのうちの約0.15%が子宮頸がんを発症すると推定されています。ただし、子宮頸がんになるまでには、通常、数年~十数年と長い時間がかかるので、定期的な子宮頸がん検診を受けていれば、がんになる前の状態(前がん病変)を発見し、治療することが可能です。

また最近の研究では、現行のワクチンは16型、18型以外にも、31型、33型、45型、58型に対しても有効性がある(クロスプロテクション効果)という報告もあり、子宮頸がんの予防効果は70%を超えると推定されています。

3.HPVのさまざまな型とリスク

アルファー属(粘膜・皮膚型)のHPV分類
属・腫 タイプ(種) 頸部扁平上皮がん 頸部腺がん カテゴリー
Alpha 1 HPV32     low-risk
HPV42     low-risk
Alpha 2 HPV3     cutaneous
HPV10     cutaneous
HPV28     cutaneous
HPV29     cutaneous
HPV77     cutaneous
HPV78     cutaneous
HPV94     cutaneous
Alpha 3 HPV61     low-risk
HPV62     low-risk
HPV72     low-risk
HPV81 0.04%   low-risk
HPV83 0.04%   low-risk
HPV84     low-risk
HPV86      
HPV87      
HPV89      
HPV102      
Alpha 4 HPV2     cutaneous
HPV27     cutaneous
HPV57     cutaneous
Alpha 5 HPV26 0.22% 0.54% high-risk*
HPV51 0.75%   high-risk
HPV59 0.40%   high-risk**
HPV82 0.26%   high-risk*
Alpha 6 HPV30      
HPV53 0.04%   high-risk*,**
HPV56 1.09%   high-risk
HPV66 0.19%   high-risk*
Alpha 7 HPV18 11.27% 37.30% high-risk
HPV45 5.21% 5.95% high-risk
HPV59 1.05% 2.16% high-risk
HPV39 0.82% 0.54% high-risk
HPV68 0.37%   high-risk
HPV70 0.50%   high-risk*
HPV85      
HPV97      
Alpha 8 HPV7     cutaneous (mucosal)
HPV40     cutaneous (mucosal)
HPV43     cutaneous (mucosal)
HPV91     cutaneous (mucosal)
Alpha 9 HPV16 54.38% 41.80% high-risk
HPV31 3.82% 1.08% high-risk
HPV33 2.06% 0.54% high-risk
HPV35 1.27% 1.08% high-risk
HPV52 2.35%   high-risk
HPV58 1.72% 0.54% high-risk
HPV67 1.33%   high-risk**
Alpha 10 HPV6 0.07%   low-risk
HPV11 0.07%   low-risk
HPV13     low-risk
HPV44     low-risk
HPV55 0.04%   low-risk
HPV74     low-risk
Alpha 11 HPV34     high-risk*
HPV73 0.49%   high-risk*
Alpha 13 HPV54     low-risk
Alpha 15 HPV71     low-risk
HPV90     low-risk
HPV106      

*:欧米のがんで検出されているタイプ。 **:日本のがんで検出されているタイプ。 

HPV(human papilloma virus)
ハイリスクHPV感染が関連するがん
部位 がん合計数 関連度(%) HPV関連がん数 全がんに占める頻度(%)
子宮頸部 492800 100 492800 4.5
肛門 30400 90 27400 0.2
膣、外陰 40000 40 16000 0.2
陰茎 26300 40 10500 0.1
中咽頭 52100 12 6300 0.1
口腔 274100 3 8200 0.1
合計 561200 5.2

Parkin DM:Int J Cancer 118:3030-3044,2006

HPV感染と子宮頸部病変の発生割合

子宮頸がん発症リスクが高いHPV16/18の感染検出率は20~30代の若い女性で高く、
その後も感染リスクは続きます

日本における年齢別HPV16/18型検出率

Onuki M, et al:Cancer Sci 2009;100(7):1312-6より作図

HPV16やHPV18に感染していると、子宮頸がんの前がん病変である 高度異形成の発生率が高まります

CIN3+の累積発現率[海外データ]
対象:
Kaiser Permanenteの健康プランに加入し、定期的に子宮頸がん検診を受診している16歳以上の女性20,810例
方法:
HPV感染の自然史を検討する目的で、1989~1990年に定期的に子宮頸がん検診を受診している女性をコホートに組み入れ、122ヵ月間の追跡調査を行った。子宮頸がん検診は通常の健康診断の中で実施した。子宮頸がん検診では細胞診とHC2 test(発がん性HPVの検出)を行い、HC2 test陽性の場合にはHPV DNA検査によりHPV16およびHPV18感染の有無を検討した。細胞診はベセスダシステム2001に準拠して判定した。
追跡期間中は、現在の標準的な治療ガイドラインに従い、CIN2以上の異常が認められた場合には治療を行ったが、一部の患者は医師の裁量によりCIN1で治療を行った。

Khan MJ et al.:J Natl Cancer Inst 97(14):1072-1079,2005

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