がん予防ワクチン(サーバリックス)

子宮頸がんの予防ワクチン

子宮頸がん予防ワクチンは、発がん性HPVの感染から長期にわたってからだを守ることが可能です。海外ではすでに100カ国以上で使用されています。

サーバリックス

ワクチンとは、病気の原因となる細菌やウイルスなどをあらかじめ接種しておき、病気を防ぐ方法です。子宮頸がん予防ワクチンは、発がん性HPVの中でも特に子宮頸がんの原因として最も多く報告されているHPV16型と18型の感染を防ぐワクチンです。感染を防ぐために3回のワクチン接種で、発がん性HPVの感染から長期にわたってからだを守ることが可能です。しかし、このワクチンは、すでに今感染しているHPVを排除したり、子宮頸部の前がん病変やがん細胞を治す効果はなく、あくまで接種後のHPV感染を防ぐものです。

グラクソ・スミスクライン(GSK)社のHPV16/18の2価ワクチン(Cervarix)と米国メルク社のHPV16/18にHPV6/11を加えた4価ワクチン(Gardasil)があります。
血清中和抗体を誘導するもので、HPVの細胞への感染をブロックする.数万人の臨床試験で持続感染予防効果とCIN2/3、AIS発生予防効果がほぼ100%であり、ワクチンと関連した重篤な有害事象はきわめて少なく、Gardasilは100力国以上で、CervariXも60力国以上ですでに認可されています。

HPV16型および18型をターゲットとしたサーバリックスとは

サーバリックスの特性
1. 子宮頸がん発症の主要な原因である、
発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)の16型と18型の感染を予防するワクチンです

子宮頸がんの最大の危険因子はHPV16型と18型です。子宮頸がんは、発がん性をもつハイリスクHPVの持続感染が主因と考えられています。ハイリスクHPVの型は13~15種類ありますが、中でも16型と18型は悪性化するスピードが速く、がん化しやすい型です。このヒトパピローマウイルス(HPV)16、18型感染を予防すれば子宮頸がんが、60%前後の率で予防ができると考えられています。
がんに対してワクチンが効果を持つのは医療史上初めてであり、画期的なことであります。有効性は60~70%と非常に高いものであり、世界100カ国以上の国では7年前より国家的に行われており、日本でもようやく認可がおりました。ワクチン接種は、早ければ早いほど効果があります。
副作用はほとんどなく仕事に支障をきたす事はありません。

2. GSK独自のアジュバント(免疫増強剤)ASO4を使用することで、
自然感染の11倍の抗体価を長期間維持します

サーバリックスのHPV16/18に対する抗体価はシミュレーションにより
少なくとも20年間は維持されると推計されています。

統計モデルからは、発がん性HPVの感染を20年間は予防できると推定されています。したがって、12歳前後に接種すれば、最も発症率の高い20~30代の女性の子宮頸がんを十分に予防できるでしょう。

64年間における抗体価の推移(海外データ)
3つの統計モデルによる20年間の抗体価推移(シミュレーション)
3. このワクチンに含まれるウイルスには中身(遺伝子)がないので、
接種しても感染することはありません
ウイルス様粒子(virus-likeparticle;VLP)を抗原とするワクチン

Stanley M : Vaccine 24(Suppl 1) : S16-S22. 2006

他の多くのワクチンは病原体を弱毒化ないし無毒化したものですが、子宮頸がん予防ワクチンは原理が異なり、人工的な遺伝子組み換え技術により合成した、“ウイルス様粒子(virus-likeparticle;VLP)”(上記)を抗原とするワクチンです。“VLP”は、HPVのDNAから殻(カプシド)を作り出すLlタンパクのみを採取し増殖させた、殻だけの偽HPVです。外観上はHPVのウイルス粒子とほぼ同様ですが、DNAを含まないので感染力も複製力もありません。

4. 前がん病変の発症をほぼ100%予防します

子宮頸がんの前がん病変は“子宮頸部上皮内腫瘍(CIN:cervical intraepithelialneoplasia)”といって、上皮内に限局する異形成と上皮内がんのことです。子宮頸部表面の細胞が異常増殖したのが子宮頸部異形成で、前がん状態と考えられます。CIN1~CIN3の3段階に分かれます。CIN3を超えると浸潤がんになります。

HPVの持続感染

サーバリックスを接種すると、自然感染で得られる数十倍もの中和抗体(ウイルスの細胞内へ侵入・増殖を阻止する抗体)が産生され、新しい免疫機構を作り出します。免疫応答の増強により強力な血清抗体価を誘導できるため、高い抗体価が長期間にわたり持続し、性行為により侵入するHPV16型、18型の子宮頭部上皮への感染を100%排除します。すなわち、感染が阻止できるということは、両型に起因する高度上皮内病変(CIN2,3)、上皮腺がんも100%防止できるということとなります。

ワクチンはどのように効くのでしょうか?

HPVワクチンの作用機序は、従来のワクチンと異なっており、麻疹、天然痘、ポリオ等のワクチンは全身性感染症を対象にしています。その機序はワクチンで免疫記憶を与えておくと、後にそのウイルスに感染した時に病原体が局所で増殖した時点で急速な免疫応答が誘導されるので、血液を介して病原体が標的臓器に到達し二次増殖を起こす前に免疫系が病原体を排除することができる。つまり、ワクチンは感染を防ぐのではなく発症を防ぐ効果があります。

一方、HPVの場合は一度潜伏感染細胞が生じると排除が難しいので、感染そのものを防ぐ必要があります。ワクチンが誘導する高濃度の血中中和抗体が細胞間液やリンパ液に移行し、常時生殖器粘膜に滲みだすことで皮膚や粘膜の基底細胞へのHPV感染を防ぐのではないかと考えられています。

HPV感染は皮膚・粘膜損傷部の基底細胞に侵入することから始まりますが、L1-VLPワクチンにより誘導された中和抗体がHPVに結合することにより感染をブロックします。つまり、液性免疫によるものであり、HPV感染の自然消退とは異なり、細胞性免疫は関与しないため、治療効果はありません。

HPV感梁のある女性へワクチン接種をしても有効でしょうか?

現行のワクチンは既に感染しているHPVの排除や異形成の進行を遅らせたり、治癒させたりする治療ワクチンではないため、最も効果的な接種時期は初交前(初めての性交渉目)が理想とされています。しかし、既にHPV感染の経験がある女性であっても、接種後に新たに侵入してくるウイルスに対する予防効果は得られます。最近では、16型、18型以外のハイリスクHPVのうち系統的に両型と近縁にある他型に対するクロスプロテクション効果も認められており、接種の意義は十分あると考えられています。

ちなみにアメリカ予防接種勧告委員会(ACIP)では、「性交渉の経験がない女性」以外でも、13~26歳の「既に性交渉の経験がある女性」「子宮がん検診で異常が認められた女性(前がん病変)」「発がん性HPVに感染している女性」も、ワクチンの接種対象としています。新たなウイルスの感染予防の観点から考えれば、年齢に関係なく性交渉の機会がある女性には接種の効果が期待できるということになります。

ワクチン接種によるその他の効果は?

HPV関連がんとしては、子宮頸がんが主ですが、HPV16型や18型が高頻度(50%以上)に検出される肛門がん、膣がん、外陰がん、陰茎がん、中咽頭がんに加えて、一部の喉頭がん、食道がん、肺がんなども含まれます。
子宮頸がんと同時にすべてのHPV関連がんが予防できることが期待されています。
HPV6/11を含むGardasilでは尖圭コンジローマ、若年喉頭乳頭腫の予防もできます。

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